「オーディオの科学」への揚げ足取り
10/11/4 11/3/2誤植訂正
昨日、URL「オーディオの科学」に関してコメントしましたが、その後具体的な事例を読んでいましたら、この様なケーブルは実在しない、又、計算の仕方が可笑しい事に気付きました。
以下が「オーディオの科学」の”分布定数回路”の項に記載された例示です;
具体的に a = 0.5 mm (1φ)の銅単線を d = 5mm の平行線とした場合を考える。有効誘電率は ε'=1 とする。
R,L,C は R = 22mΩ/m、 L = 0.9 μH/m、 C = 12.1pF/m となる。 この値は、本文に例示した最も安価な ケーブル A にほぼ等しい(線間容量が少し小さめ)。」
以下が私のコメントです;
1) d=5mmのdの定義が分かりませんが(表皮深さの説明でdが使用されていますが)ここでは導体間隔と理解します。”有効誘電率”は”(実効)比誘電率;εs”が正しい表現ですが、εs=1とは真空か空気です。
導体径が1mmで導体間隔が5mm、絶縁絶縁体は空気?好意的に解釈してフィーダー線のようなものを想定するのか?と成りますが。この様な平行ケーブルが店頭でしばしば売られているのでしょうか? この様な構造は汎用スピーカーケーブルとはかけ離れたものです。
2) 1mmφの銅線の導体抵抗は1m当り、確かにR=22mΩです。インダクタンスの1m当りL=0.9μHはd=5mmと導体間隔が大きいのでこの様な値になるのでしょう。汎用のスピーカーケーブルではL=0.4~0.6μH程度です。
しかし、ケーブルの特性を議論する場合には、スピーカーケーブルの1mには、導体は往復線路で2m使用されているので、これらR,Lの値は2倍にしなければ成りません。静電容量は1mの導体間の値なので2倍にする必要はありません。
この様な特異な構造や誤った数値を基にした議論は、多くのオーディオファイルの方々を混乱させるだけです。ケーブルに関する他の記載も、詳しくその内容を考察すればこの様な誤った事例が見つかる事でしょう。
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コメント
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AVCTNEGY様
「導体径が1mmで導体間隔が5mm、絶縁絶縁体は空気?好意的に解釈してフィーダー線のようなものを想定するのか?と成りますが。この様な平行ケーブルが店頭でしばしば売られているのでしょうか? この様な構造は汎用スピーカーケーブルとはかけ離れたものです。」
ここは単に分布定数回路の説明なのでフィーダー線のような構造を想定しても差し支えないのでは?
「1mmφの銅線の導体抵抗は1m当り、確かにR=22mΩです。インダクタンスの1m当りL=0.9μFはd=5mmと導体間隔が大きいのでこの様な値になるのでしょう。汎用のスピーカーケーブルではL=0.4~0.6μF程度です。」
揚げ足取りの、さらに揚げ足取りになって恐縮ですが、インダクタンスの単位はH(ヘンリー)ですよね。
「しかし、ケーブルの特性を議論する場合には、スピーカーケーブルの1mには、導体は往復線路で2m使用されているので、これらR,Lの値は2倍にしなければ成りません。静電容量は1mの導体間の値なので2倍にする必要はありません。」
確かに、Rは2倍にする必要があります。ただ、この議論はオーディオ周波数域で分布定数回路の R=0 近似がよくないということをいっているだけで、2倍にしても結論が変るわけではないですね。本文のケーブルの減衰の計算ではちゃんと往復分2倍の抵抗値を使ってますよ。それより、平行線の自己インダクタンスは往復2本ペアー線に対する値なので2倍にする必要はありません。ケーブルの専門家がこんな間違いをしてはいけませんね。
「この様な特異な構造や誤った数値を基にした議論は、多くのオーディオファイルの方々を混乱させるだけです。ケーブルに関する他の記載も、詳しくその内容を考察すればこの様な誤った事例が見つかる事でしょう。」
さて、どちらがオーディオファイルの方々を混乱させているんでしょうか??
投稿: サイトウォチャー | 2011年3月 2日 (水) 15時59分